新型コロナウイルスの影響で、日本でも「緊急事態宣言」がだされました。
毎日ストレスを感じている方も多いのではないでしょうか?
こんな時、心配されるのが人々の行動です。
- トイレットペーパーが売り切れる
- 買いだめをしようとする
- 自粛を守らずに街に繰り出す人々がいる
- 都心を避けようと地方へ流れ込む人々がいる
- 職がなくなり生活が困難になる
- 大切な人の死に鬱になる
なぜ私たちはこんな目に遭わなければいけないのか。
コロナがもたらす意味は果たしてあるのか。
人々が起こす混乱を避けることはできるのか。
その結末はどこにあるのか。
こんなときだからこそ、
今こそ読むべき本として挙げられているのが
アルベール・カミュの「ペスト」です。
中世ヨーロッパでの疫病騒ぎの中、
人々の行動や裏側にある思想を描いた本です。
望まない出来事が我々にもたらす意味や
人々の行動を読むにつれ
今の東京や大阪と状況を重ねてしまうのです。
今回コロナの影響で再び注目を集め、100万部を突破しました!
この本の結末を一言で表すのはあまりにも難しく、不可能に近い気がします。
なぜなら、コロナのような抽象的な敵に対する私たちもまた、
抽象的であるからです。
社会的に正解とされることが、果たしてすべてにとって正解といえるのでしょうか。
コロナで騒がれる今、私たちが求められるものは何なのか、
今の結末はどうなるのか。
あらすじや結末をまとめたいと思います。
ペスト(新潮文庫)
・登録料無料
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- アルベール・カミュの人物紹介
- 「ペスト」あらすじ
- 「ペスト」結末
- 「ペスト」を読み解く鍵
- 「ペスト」とは
- カミュが伝えたいこと
- まとめ

アルベール・カミュの人物紹介
アルベール・カミュ
フランス文学を代表する小説家・哲学者で
カミュと言えば「異邦人」が有名で、
43歳の若さでノーベル文学賞を受賞した作家です。
アルジェリア出身。
「ペスト」は不条理の哲学を謳った作品で、1947年に発表しました。
目的や意味がないこの世界で
それでも人間は生きていかなければいけない。
納得がいかない、腑に落ちない出来事は多くあるのに、それでも生きていかなければいけない。
ペストという不条理との戦いを描いたカミュの代表作で不条理哲学と呼ばれています。
「ペスト」あらすじ
舞台となる街
舞台はオランというアルジェリアの街。
「ペスト」という疫病が街を襲う。
登場人物
- 医師:ベルナール・リウー・・・神を信じずに、不条理な状況に立ち向かい人を救おうとする医師。
- 新聞記者:ランベール・・・街が封鎖された直後、ひとりだけ地元パリに戻りたいという。
- 旅行者:タルー・・・死刑反対運動をするが、それこそ人の死に加担していることを恥ずかしく思い悩む。自分は加害者にも被害者にもなりえるのだと。
- 下級役人:グラン・・・特段偉業を成し遂げてきたわけではないが、患者のお世話をする保健隊に入り、誠実に仕事をこなす。
- 密売人:コタール・・・ペストで騒がれる世では、自分が悪人であることが薄れ、普通に生活できるようになった。
- イエズス会の神父:パヌルー・・・「このペストは特定の人への罪に対する神からの罰である」と説教する。
あらすじ
疫病ペストで店や交通は閉鎖される。
ランベールは恋人のいるパリに戻るための脱出を考え、コタールは密輸業者を紹介する。
その頃教会ではパヌルーが「ペストは罪人に神が与えた罰である。反省すべき時がきた」と、特定の人に対し罪を与えられたような言い回しで説教をする。
患者がどんどん増える中、リウー、タルー、グランは懸命に患者の治療を続ける。
ランベールは、リウーとタルーにパリへ戻ることを告げるが
ただ誠実に現状や患者と向き合い戦うふたりをみて、
またリウーの妻が別の街で闘病中であることを知り、
パリへの脱走をやめ、
タルー、グランのいる保健隊で、患者に向き合うことを決める。
ある日、ペストに侵された少年が、もがき苦しみながら死んだ。
それでもまだ「神が与えた罰だと言うのか」と神父パヌルーへ問う。
その後、パヌルーも死んだ。
そしてタルーも死んだ。
そしてペストの終息。
人々は元の生活に戻り、ランベールは妻と再会。コタールは逮捕。
そこでリウーは、闘病中だった妻が死んだことを知る。
「ペスト」結末
最後に、この物語の語り手がリウーであったことが明かされる。
ペストを読み解く鍵
倫理とは
- リウー
リウーは、この疫病による人間が太刀打ちできない状況において
あらがうためには見極めることが大事だという。
つまり、人生は思い通りにならないが、時々起きるその不条理な出来事に対して
敗北の認識をもつこと=負けることではないとする。
神と言う存在に支配されずに、人間の手で、不条理に立ち向かうことこそ倫理だとする。
- タルー
タルーは、不条理な出来事を理解すること、この場合、保健隊に入り誠実に治療に関わることが自分にとっての倫理=モラルだという。
- グラン
保健隊で活躍する下級隊員グランは、偉業を成し遂げることはなくとも、ささやかな仕事で役に立ちたいと行動する。
目の前の出来事に、誠実に向き合い行動することが、グランにとっての倫理だった。
- ランベール
戦争を既に経験してきたランベールにとって、理念という言葉は、社会の中で都合よく使われる言葉でしかなかった。
誰かが作り出した理念の為に死ぬのではなく、自分が愛するもののために生き、死にたいと考えていたランベールは
リウーやタルーをみるうちに、理念の為ではなく、自分にとっての倫理の為に残ることを決める。
- コタール
ペストのおかげで悪人として捕まらずに、ラッキーとすら思っている。
終息後に捕まることになるが、その事実が、罰を与えるのは、神ではなく人間であると表現されているよう。
- パヌルー
死因は不明。このペスト=不条理な出来事は神が罪を犯した人間に与えた罰であると説教していた神父の死が、ペストかもしれなかったというところにブラックユーモアを感じる。
ポイントは、この不条理な事実に立ち向かう人々の原動となるものが
「誰かに作り出された理念」
ではなく、
「それぞれの倫理」
であることだと感じました。
神の存在
神を信じる者と、神を信じない者。
ペストやコロナのように、人間を襲う不条理な出来事に、神は意味をもたせたのか?
もたせたとして、じゃあ神は人間を救うのか?
そんな無責任な思想を信じ従うよりも、
人間である自分がこの不条理な出来事に抵抗するしかないというリウーの考えがカミュの主張のひとつだったのでしょう。
「ペスト」とは
この小説の「ペスト」は疫病ですが、
このペストはつまり、我々が生きていくうえで、
自分ではどうしようもない、受け入れたくない事実の象徴とされています。
いじめだったり、親しい人の死もまた同様ですね。
カミュが伝えたいこと
ペストからなにを学ぶか?
今回のコロナのような、不条理な出来事から人は何を得るか。
リウーの言う
「ただ、その人と過ごした認識と記憶」
ではないでしょうか。
この小説の語り手が、リウー自身であったこと自体が、カミュの主張なのですね。
登場人物が持っている「不条理な物事への見極めと理解」は、絶望の上に出来事に立ち向かう人の意思を感じるもので、我々が今まさに必要とされているものです。
倫理、そして市民の連帯。
コロナの終息には、これこそが必要だと気づかされます。
まとめ
まずは、思いやりをもって行動すること、そして目の前の出来事に向き合い誠実にいることが
今自分に必要なものかもしれませんね。
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